近頃、一般的な家庭で本格的なアーチ型やドーム型の石窯を見かけるようになってきました。
いつかは石窯を作りたいと思っていたから目につくようになったのかもしれませんが…
でもそういった本格的な石窯はほとんどの場合、庭の一角に基礎を打って固定してあるので、しっかりと構想を練り上げて作らないと、できあがってから『しまった』と思っても移動したり作り直しはできませんよね!
今日は、本格的な石窯を作りたいと思っているあなたに、まず『超簡単にできて本格的な味が楽しめる石窯の作り方!』をご紹介したいと思います。
石窯を効率よく作るにはまず設計図の作成から始めよう
今回のテーマは『超簡単にできて本格的な味が楽しめる石窯の作り方!』なので、耐火モルタルで固定するわけではなく積木のように積み上げていくタイプです。
簡単ではありますが適当に耐火レンガを積み上げてできるというわけではありません。
簡単な石窯でも、まずは設計図を作ることをおすすめします。
設計図は、石窯の幅や奥行き高さなど手書きでもいいので構想を練りましょう!
石窯を効率よく作るためにも設計図の作成から始めよう。
石窯のレンガは耐火レンガじゃないとダメ?
石窯を作る際に使用するのがレンガですが、このレンガにも色んな種類があり、『石窯のレンガは耐火レンガじゃないとダメ?』という質問が多くありますので、これについて少し解説していきます。
多くの種類があるレンガの中で最も安価なのが『普通レンガ』で、耐熱性などを考えなくてよければこの普通レンガを使用すれば最も安価で制作できます。
しかし、石窯はピザやパンを焼くために作るのが一般的で、 長時間300度以上の高温で使用することが多く、割れの原因になりますので、普通レンガの使用は避けましょう。
耐火レンガのほとんどは、1000度以上の高温にも耐えられるような作りになっています。
ちなみに今回は、『SK-34』という企画のレンガを使用していますので、1300度以上の耐熱性がある耐火レンガを使用しています。
以上の事を考慮すると、石窯のレンガは耐火レンガが絶対おすすめです。
石窯で何を作りたいかでサイズが決まる!
石窯の設計図を作る際に考えたいことがあります。
それは、『石窯で何を作りたいかでサイズが決まる!』ということです。
たとえば、石窯でピザを焼きたいという人は、焼床があって、ピザの焼け具合を見ながら石窯の中でくるくると回転させる回転用パーラーが使える広さと高さがあれば充分ですが、パンを焼くとなると石窯の構造自体が違います。
ここでひとつ気を付けたいことは、 やみくもに高くすると熱効率が悪くなったり、焼室の上下で大きな温度差ができ、下の方はなかなか焼けないけど上はすぐに焦げてしまうということになりかねません。
設計図を作る前に、何を作りたいかの目的を決めることで、石窯のサイズが決まるので、後々手直しなどの手間が少なくなります。
石窯の設計図を作るには耐火レンガのサイズを知ろう
いよいよ設計図作りに入りますが、ここでポイントになるのが『石窯の設計図を作るには耐火レンガのサイズを知ろう』ということです。
耐火レンガには『JIS並』という規格があり、230mm×114mm×65mmがこの規格のサイズです。
わたしもこのサイズを信用して設計図を作成して石窯作りを始めましたが、実際には若干サイズが違っていました。
特に困ったのが、厚み(65mm)のバラツキで、ここが違うと積み上げるに伴ってグラつきが出てきたりします。
モルタルで固定する場合は、サイズが若干違うくらいは調整ができますが、簡単な積み上げ式の場合はサイズの違いが結構出来上がりを左右することになります。
石窯の設計図を作る前に、購入予定のホームセンターなどで 耐火レンガのサイズにバラつきが少ないことを確認することをおすすめします。
石窯の設計図ができたら基礎作りから始めよう
石窯の設計図ができたらいよいよ制作に入りますが、構造物はやはり基礎作りから始めることが重要です。
今回の石窯は、積み上げるタイプなので何度も解体して作り直すことができるので、近くに火災の原因になるようなものがない所であれば、あまり場所を選ばないのが大きな特徴です。
地盤をならしたら、コンクリートブロックなどを水平にならして基礎を作れば、その上に耐火レンガを積み上げていけばOKです!
ちなみに今回の石窯は、フォークリフトで移動できるようにパレットの上にモルタルで基礎を作り、その上に耐火レンガを積んで石窯を作りました。
モルタルで基礎を作る場合は、割れるのを防止するために鉄筋(スクリューメッシュなど)を入れ、モルタルの乾燥期間を1~2週間取ることををおすすめします。
移動式又は固定式に関わらず、まずは基礎作りから始めましょう。
石窯の基礎ができたらいよいよ組み立て
石窯の基礎ができたらいよいよ組み立てです。
耐火レンガの1段目が薪を燃やす燃焼室の床になります。
この部分の広さで石窯自体の使いやすさなども違いがありますので、目的に応じた石窯のサイズを設計段階でしっかり決めておきましょう。
2段目からはできる限り下の段の耐火レンガと互い違いに積んでいきましょう。これは、石窯が衝撃などで崩れるのを防ぐためです。
建物に使用してあるレンガを見てもほとんどの場合、互い違いに積んであるはずです。
燃焼室で大切なポイントが、燃焼室の酸欠状態を防ぐために吸気口を作ることです。
この石窯は2段目に吸気口を確保しました。この程度で本当に酸素が確保できるのかと半信半疑でしたが、実際に薪を燃やしてみると安定した燃焼が持続できました。
互い違いに組み立てるには、耐火レンガをサンダーやレンガタガネを使って切る作業も必要なので、耐火レンガとともに準備しておきましょう。
石窯の焼床には大判の耐火レンガが便利!
燃焼室ができたら次は焼床の制作です。
焼床にはアサヒキャスター(耐火コンクリート)や、大判の耐火レンガを使用することが一般的ですが、今回のような組み立て式の場合、後々の改造などのことを考慮すると、 石窯の焼床には大判の耐火レンガが便利です。
この石窯は、2段構造にしているので火(熱)が回るように奥をあけて、大判の耐火レンガ(570mm×230mm×65mm)を2枚使用しています。
ここでも気をつけたいポイントがあり、厚みが均一の耐火レンガを選ぶことです。
それは、ピザを焼く際にピザピールを使いますが、奥のレンガが高くなるとピザピールが引っ掛かったりして最悪の場合、せっかくのピザが火の中に落ちてしまうこともありますので、大判の耐火レンガを買う際に厚みが均一な物を選びましょう。
焼床ができたらパン焼き用の金網をセットできるように組み立てよう
石窯でピザだけではなく、パンも焼きたい場合は金網をセットできるようにすると便利なので、焼床ができたらパン焼き用の金網をセットできるように組み立てましょう!
パンはピザよりも低い温度で焼くので、焼床に直接置くよりも金網でワンクッション入れることで焦げ付きを防ぐことができます。
ただ、この金網のサイズを選ぶのに一苦労しましたが、わたしの場合、ホームセンターで42cm×37.5cmのバーベキュー用金網を買いました。
金網を置けるようにするには、耐火レンガをほんの少し(2cm程度)内側にずらしておくと金網用の棚ができます。
この金網を置いてパンを焼くためには、金網をスライドさせれるように作っておくと便利です。
また、金網と天井の空間をどのくらいあけるかによって、焼けるパンの高さが決まりますので、食パンの型が入るくらいの高さは確保したいところです。
天板にも大判の耐火レンガがおすすめ!
石窯作りもいよいよ仕上げに近づいてきました。
ここで天板の制作になりますが、 焼床と同様に天板にも大判の耐火レンガがおすすめです。
このサイズだと、大判の耐火レンガを3枚使用するとそれだけで天板ができ上がるので、天板にも大判の耐火レンガがおすすめです!
石窯が完成したらまず火入れから始めよう!
石窯が完成したら、早速ピザやパンを焼きたいところではありますが、その前にまず火入れから始めることが重要です。
石窯の火入れとは、窯が完成した際にガンガン薪を燃やしていきなり高温にせず、 最初は小さい火で徐々に窯の温度を上げていくことです。
今回の石窯は耐火セメントは使っていないので、そこまでシビアになる必要はありませんが、この火入れをすることで耐火レンガ中の水分を飛ばしより強度を増すことができますので、石窯が完成したらまず火入れから始めましょう!
超簡単にできて本格的な味が楽しめる石窯にかかった費用と時間、必要な道具は?
これで石窯が完成しましたが、この石窯にかかった費用と時間はどれくらいでしょうか?
以下に一通り記載しておきます。
石窯作りの材料費は?
まず、材料費(税込)の内訳から紹介します。
①プラスチック製パレット・・・自宅にあった物
②基礎
・セメント25㎏1袋・・・398円
・モルタル用砂20㎏1袋・・・218円
・モルタル用鉄筋(スクリューメッシュ)1枚・・・505円
・モルタルを流し込む枠
カラーコンパネ1枚・・・1,480円
垂木1.8m×2本・・・1,976円
③耐火レンガ(230mm×114mm×65mm)70枚・・・14,420円
④耐火レンガ薄版(230mm×114mm×30mm)40枚・・・15,850円(送料込)
⑤耐火レンガ大判(230mm×570mm×65mm)5枚・・・7,400円
⑥窯用扉(近所の鉄工所に依頼)・・・5,000円
⑦バーベキュー用金網(420mm×375mm)2枚・・・1,256円
①~⑦の合計
今回の石窯作りの材料は合計で48,503円でした。
石窯作りにかかった時間は?
今回、超簡単にできて本格的な味が楽しめる石窯というテーマで制作しましたので、簡単であるもののちょっと手間はかかっています。
とはいえ制作に何日も要したわけではなく、作業時間は延べ6時間ほどでした。
もちろん基礎にモルタルを使用しているので、1日で完成したわけではありません。
モルタルが乾燥するまでに1週間くらいは養生していました。
モルタルの基礎が完成したら、耐火レンガを半丁使用する個数分カットしたら設計図通りに積み上げていくだけなので、短時間で完成します!
石窯作りに必要な道具は?
次に石窯作りに必要(あれば便利)な道具を紹介します。
①基礎作り
・モルタルを混ぜる桶(トロ舟)
・モルタルを混ぜる道具(ハンドホー)
・モルタルをならすコテ
・木枠を作る際のノコ
・木枠を固定する際の木ネジや電動インパクトドリル
・モルタル用鉄筋(スクリューメッシュ)を切るボトルクリッパー
・モルタルの中の空気を抜くためのゴム性ハンマー
②耐火レンガの加工
・耐火レンガに切込みを入れるためのサンダー
・サンダーの刃(ダイヤモンドカッターなど)
・耐火レンガを切断するためのレンガタガネ
・レンガタガネを打ち込み際のハンマー
③その他
・メジャー
・差し金
まとめ!
今回は、超簡単にできて本格的な味が楽しめる石窯の作り方についてご紹介しましたがいかがでしたか?
もっと簡単で費用を掛けずに作ることもできますが、わたしは簡単に作ることと同時に、用途を幅広くすること、そして本格的な味が楽しめる石窯作りを目指しましたので、そこそこの大きさと高さになってしましました。
ここで再度おさらいをしますと、
①石窯を効率よく作るにはまず設計図の作成から始めよう。
①-2石窯のレンガは耐火レンガを使用しましょう。
①-3石窯で何を作りたいかでサイズが決まる!
①-4石窯の設計図を作るには耐火レンガのサイズを知ろう
②石窯の設計図ができたら基礎作りから始めよう。
③石窯の基礎ができたらいよいよ組み立て。
③-2石窯の焼床には大判の耐火レンガが便利!
③-3焼床ができたらパン焼き用の金網をセットできるように組み立てよう。
③-4天板にも大判の耐火レンガがおすすめ!
④石窯が完成したらまず火入れから始めよう!
⑤超簡単にできて本格的な味が楽しめる石窯にかかった費用と時間は?
⑤-2石窯作りの材料は?
⑤-3石窯作りにかかった時間は?
⑤-4石窯作りに必要な道具は?
以上『超簡単にできて本格的な味が楽しめる石窯の作り方』というテーマでご紹介しました。
まずはこの石窯で使い勝手や、ピザやパンんの焼け具合などをしっかり検証したうえで、本格的なアーチ型やドーム型の石窯作りに取りかかりたいと思います。
今後は、この石窯と使った料理をご紹介していきます。
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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